高級パンはもはや高級でもなんでもない

高級パンはもはや高級でもなんでもない



日本はちょっと前までデフレ全開で、

値上げなんて言ったら

袋叩きに遭うような様子でした。


吉野家すき家は安さこそ求められ、

ユニクロは安いことこそ正義、

苦しくても価格を上げるのは

あってはならないという風潮でした。


だからこそ、高級食パンとかが

売れると話題になるんですよ。


「このデフレ下でも
 なんと高級食パンが売れている!」


ということが一つのプレミア感になり、

話題を呼んだわけです。


ところが時代は突然変わり、

円安と物価高が世の中を支配して

様子を一変させてしまいました。


これにより多くの人は

こう思うようになったのです。


高級パンはもう高級でもなんでもない


そんなモノであると。


-----------


【奥さん、支配されてもいいんですか】



物価高が止まりません。

金利の利上げと、ウクライナ戦争に

よって原材料の価格は急上昇。


値上げのニュースは毎日のように

聞かれるようになりました。


こうなると、高級パンなんてのは

別に珍しくもなんともないんですよ。

普通のパンだって値上げ続きで

高級感満載なんだから。


ただでさえ出店飽和で存在自体に

プレミア感がないのに、

高級感にプレミアがなかったら

もうアピールするものがありません。


以前までは一個1000円する食パンなら

試してみようという人もいたけれど、

今は物価高で、食パンなんぞに1000円も

払ってられるか、という気持ちのほうが

大きくなってきています。


まして岸本パンで珍しいのは

「ヘンな店名」ということぐらいで、

それも増えすぎたことで

ちっとも珍しくなくなっている。


もう勝負するところがないのです。


-----------


この話題について長々と

いろいろ語ってきましたけれど、

最後にシンプルに締めくくって

おきたいと思います。


この岸本パン屋は

「素人や初心者でも儲かるパン屋」

を売りにして、

奇抜な店名やメディアへの露出、

物珍しさで拡大してきましたが、


「そもそも素人や初心者が作った
 高級パンなんて食べたいか?」


というところにそもそもの

問題があります。


珍しい店名なんてすぐに見慣れるし、

高級食パンという存在自体、

もうプレミア感がありません。


結局残れるのは、

「お客様が満足できるパン」

を提供できるお店だけであり、

そのためには熟練の職人技が必要で、

素人や初心者には土台無理な話です。


どんな手法ややり方も

それを運用する人間がポンコツでは、

結果は当然ポンコツになります。


手法ややり方は、それを使う人間の

力と才能を活かすためのものであり、

へっぽこ素人レベルを

ごまかすための手段ではありません。


それを必勝法だと勘違いした人間が、

岸本パン屋に500万円も払って

半年で白旗なんてことになるんです。


僕は別に岸本パン屋を

ディスりたいのではない。


「素人が自分のレベルを向上させず、

 やり方や手法で儲けようという
 心意気がそもそも間違っている」

と言っているのです。


せどりもそう、アフィもそう。

全てのビジネスがそう。

結局自分自身のレベルが、

稼げるレベルそのものなのです。


岸本パン屋はその大切な教訓を

僕たちに教えてくれています。

まあ、半年で閉店した店のオーナーに

とってはたまらない話だけれどね。


残念ですけれど、

知らんがな、の一言で終わりです。